子供の頃は
いたずらっ子でやんちゃ坊主、一度言い出したらあとには引かない頑固者。八郎は、二度、父母に背いている。学問をしに江戸へ家出したことと、遊女・お蓮と結婚したことである。しかし
「信念」と
「誠実」の人だった。親に背いてでも学問という信念をつらぬき、身分の高低にとらわれず真の愛情を重んじる誠実さである。
母をつれての伊勢参りの旅は八郎の
やさしさと親孝行ぶりが如実にあらわれている。母の老後の楽しみにと書きつづった旅の記録
「西遊草」は半年の間、一日も休まず筆記した。また、とんでもない
記録癖で、自分の誕生の時までさかのぼって日記を書いたり、
「潜中紀略」など、逃亡生活をしながら全国に志士を求めて旅していた時の記録は2部ずつ残している。